【あたしだけ何も起こらない】は、韓国人でtvNの最長寿ドラマ「ブッとび!ヨンエさん」の脚本を手がけた脚本家であるハン・ソルヒさんによるエッセイ。
40代が近づいた時に気が付けば周りはいつの間にか結婚して子供がいたり離婚したのちに再婚したりしている。
そんな自分だけ置いてけぼりになってしまったような状況に対して後悔や不安も感じつつ、自分らしく生きるという選択の大事さについて赤裸々に語ったエッセイです。
今日はそんな、ハン・ソルヒ【あたしだけ何も起こらない】についてあらすじや感想をご紹介したいと思います。
ハン・ソルヒ【あたしだけ何も起こらない】書籍情報
ハン・ソルヒ【あたしだけ何も起こらない】あらすじ
ハン・ソルヒ【あたしだけ何も起こらない】のあらすじについてご紹介します。
♯14 感情の中年太り
年をとるにつれて痩せにくくなるという言葉で太った自分を納得させてしまいがちですが、年をとるにつれてぜい肉だけではなく感情にもベタベタと余計なものがくっついてくる。
人の羨ましい部分に対して嫉妬や願望が加わってしまい、そのことにもより窮屈になったり訳のわからない自責の念まで加わってくる。
ある日、ハン・ソルヒさんが久しぶりに母親に会った時に、母親が身の回りの些細な出来事について愚痴を言い始めたのだが、今までは陰口を言うこともない人だったので、初めて見る母親のそんな姿に苛立たしさを覚えてしまった。
そんな母親に対して、つい「それぐらい我慢しなきゃ。大人なのになんでそんな子供みたいなことを言うの。」と言ってしまったのだが、その言葉に対して母親の回答にハン・ソルヒさんはハッとさせられた。
ハン・ソルヒさんの母親はなんと言ったのか、そしてその言葉から気付いた大切なこととは・・・?
♯18 こうして仲間外れになっていく
ハン・ソルヒさんは大学には適当に行って無意味な日々を過ごしていたが、そんな娘の姿を見ていた母親から責め立てられたことがきっかけで、アニメーション作家になると宣言して衝動的に専門学校に入学した。
だがハン・ソルヒさんには一日10時間以上も座り続けてひたすら絵を描く作業が性に合わず、2~3ヶ月ほど学校に通っても他のクラスメイトのように上達せず、どうしたものかと思っていた。
そんな時、ネットのユーモア掲示板に書き込みをしていたらテレビ局からアイデア作家をやってみないかというオファーがきて、それがシチュエーション・コメディ作家生活への道のきっかけになった。
ひょんなことからシチュエーション・コメディの構成作家となり、「ブッとび!ヨンエさん」では同じ作家さんたちと長期間一緒に仕事をしていたため、友達や家族よりもチームの作家たちと親密に過ごしていた。
ある時、最年少のアイデア作家以外の全員が結婚していることに気づいたものの、はじめは大した変化はないだろうと思っていたが、みんなとの悩みのジャンルが違い過ぎて結婚していないというだけでつまはじきにされたように感じて勝手に腹を立てつつも悲しかった。
仲間外れという言葉についてハン・ソルヒさんが思うこととは・・・?
♯20 人生、その無謀な挑戦
20代の頃を振り返ってみると今と大して違わないと思うものの、もう少し活気があり、もう少し勝気で、更にもう少し無謀で、もう少しクレイジーな人っぽかったと思う。
それは嘘で中途半端に取り繕うよりも、正直であることが美徳だと思っていた時だった。
相手が誰であろうと抱いた感情をありのままに話すように努め、相手が自分よりも強い人であればあるほど、媚びることなく荒っぽい口調で話すことが正しくてカッコイイと信じていた時代だった。
だが年をとると思っていたほど自分が強くないことがわかったものの、性格はなかなか変わらず20代とさほど変わらない姿で生きて来て、そんな変わらない姿というのもまたカッコイイと30代のことは信じていた。
何度もつまづいて失敗したことも沢山あるが、なんとかここまで持ちこたえてきたが、悩みは誰にでもありそれぞれ置かれている状況が違うだけで人生に対する根本的な悩みは同じである。
少しずつ今より前に進むしかなく、もしかしたら背中を押されて望んでいない場に出て行かざるを得なくなり派手に転んで恥をかき回復不能なほどの痛手を負うかもしれない。
もし転んでしまった時にどうすればいいかについて、ハン・ソルヒさんが考えたこととは・・・?
♯24 私は再び渇望する、愛を
彼氏と別れてから半年近く、チクチクした痛みと切ない記憶によって苦しめられ、愛と呼んだ感情が去った後には喪失感と孤独、そして謎の怒りが心に広がった。
苦しいことや悲しいことが起きた時にその出来事から目を逸らさずにあえて向き合うのか、自分の心を守るために目を逸らして傷が癒えるのを待つのか、向き合い方は人それぞれですが、ハン・ソルヒさんは、日ごとに辛さが増して「愛なんて存在しない。勘違いで何もかも虚像だった。」とマインドコントロールするように自分を励ました。
そしてある日、自分のことを「プライドのない女」だと気付いてしまった。
それは心の深いところから聞こえてくる「誰かを再び愛し愛されたい。」という囁きのせいである。
長い恋愛によって常にだれかと一緒に過ごす日常に慣れてしまうと、一人にされるのが死ぬほどつらく感じ、また誰かと共に歩んでいくことを狂おしいほどに臨んでいた。
だがそんな考え方とは反対に、「恋愛なんかどうでもいい」と思う人も少なくなく、10年近くれないから遠ざかっていたある先輩は、もう恋だと愛だの何もかも面倒に感じられると言う。
ハン・ソルヒさんが人生の中で度々思い出す記憶とは、大小の事件や事故によってできた多くの傷の集合体なのではないかと思っていた。
年々用心深さと恐ればかりが大きくなるが、最初から傷つくことを恐れていたら人生には何も起こらないのかもしれない。
そしてハン・ソルヒさんはあることを決心した。そのあることとは・・・?
あたしだけ何も起こらない “その年”になったあなたに捧げる日常共感書 [ ハン・ソルヒ ]
ハン・ソルヒ【あたしだけ何も起こらない】の感想
私も昔は当たり前のように好きな人と恋愛期間を経てから結婚して、子供を2・3人産んで幸せに暮らすものだという未来予想図を描いていましたが、実際は今も独身でもはや結婚願望は綺麗さっぱり消えてしまいました。
まだ結婚願望があった頃は、ハン・ソルヒさんのように結婚出来ないことについての焦りや先が見えない未来に不安になったり、自分には何か致命的に欠けているのではないかと自己否定したり、親に孫を抱かせてあげられないことに罪悪感を感じたりしていました。
ただ、今思えば本当に結婚したかったのかも怪しく、親孝行の為に結婚して孫を見せてあげないといけないと思い込んでいたような気がします。
何が幸せなのかは人それぞれであり、誰にでも平等に幸せが降り注ぐ訳ではないですが、大事なのは人と比べずどんな状態の自分でも幸せであると自分を肯定してあげることではないかと、歳を重ねるごとに感じるようになりました。
これから先の人生がどうなるかは私にもわかりませんが、ハン・ソルヒさんのように一人でいても誰かといてもどちらでも幸せな自分でいられることを大切にして生きていけたらいいなと思いました。
ハン・ソルヒ【あたしだけ何も起こらない】のおすすめポイント
ハン・ソルヒさんは結婚して子供がいる友人のことが羨ましいと思っているが、その友人は「私が今いちばん後悔していることは結婚したこと」だと言う。
お互いにないものねだりだったり、隣の芝生は青く見えるのような感じかもしれないですが、当事者の気持ちは第三者にはなかなか理解することは難しいですよね。
だからこそいかに今自分が置かれている状況を楽しめるかどうかが幸せ度に比例するのではないか、そんなことを考えるきっかけを与えてくれます。
ハン・ソルヒさんの友人との会話が沢山載っているのですが、みんな歯に衣着せぬ発言で逆にそこまでストレートに伝えても信頼関係が崩れないという絆を感じました。
痛快なツッコミが盛り沢山ですので、ハン・ソルヒさんと同じような立場の方にはギクッとさせられるかもしれませんが、そのおかげで色々と自分のことを見直せるのでおすすめです。
私はなかなか自分に厳しくすることは出来ずダイエットも長続きしないのですが、ハン・ソルヒさんも私と似ているタイプなんだなと思えるエピソードが沢山あり、同じようなタイプの方には凄く共感してもらえると思います。
ダメダメな自分も含めて丸ごと受け止めてあげることの大切さについても書かれているので、つい自分を責めてしがいがちの方には、少し肩の力を抜くことが出来る処方箋のような一冊です。
まとめ
結婚したいのになかなか結婚することが出来ず、焦りや不安を抱えている方にはハン・ソルヒさんの体験談ややるせない思いなどに激しく共感出来ると思います。
独身の方だけではなく、すでに結婚されている方ももし自分が独身のままだったらどういう心境だったのか、気楽な生活を送っているように見える独身者がどのような気持ちを抱えているのか、自由と孤独は紙一重だということを改めて考えさせられると思います。
「ブッとび!ヨンエさん」のドラマがお好きな方には、あの面白い脚本をどんな人物が書いているのか、友人達には「頭のおかしいヤツ」みたいだと言われていた発想がシチュエーション・コメディの作家の道に繋がり、ハン・ソルヒさんの日常生活が番組のネタになることもあるくらい感情豊かな彼女の文章がとても魅力的なのでおススメです。
本著は女性だけではなく男性が読んでも楽しめると思います。
特に結婚願望がある独身男性にも共感できる部分が沢山書かれており、男女問わず抱える悩みや不安以外にも独り身の気楽さもあり、どういう状態が自分にとって幸せなのかについて考えるきっかけをもらえると思います。
★この本が気になった方にはこちらの本もおすすめです★
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