【人生後半、上手にくだる】は、「暮らしのおへそ」の編集者で現在は「外の音、内の香」というウェブマガジンを書いている一田 憲子さんの著書。
人生折り返し地点の40代~50代頃から感じる老いに対してどのように受け止めていくのかについて自身の経験から向き合い方を綴ったエッセイです。
今日はこちら、一田憲子【人生後半、上手にくだる】についてあらすじや感想をご紹介したいと思います。
一田憲子【人生後半、上手にくだる】書籍情報
一田憲子【人生後半、上手にくだる】のあらすじ
一田憲子【人生後半、上手にくだる】のあらすじをご紹介します。
花が散った後まで、楽しみ尽くしたい
活き活きと輝いていた女優さんが気が付くといつの間にかテレビや映画のスクリーンから姿を消していたり、雑誌の特集などで活躍していた料理家さんやスタイリストさんもふと気が付くと居なくなったりしていった。
そんな事に気が付くたびに「平家物語」の一節である「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」が頭に思い浮かんだ。
一田 憲子さんは若い頃は自分はああいう風にはなりたくないと思い、それを避けるためにはどうしたら枯れないでいることが出来るのか、年を重ねてもずっとキラキラし続けられるのか、その方法が知りたいと思っていた。
でも60歳という節目を目前を控えた今は、そのいつの間にか居なくなっていた人達がもしかしたら仕事を辞めたことでやっと作れた時間によって家族と一緒に穏やかな日々を過ごしているかもしれない。
もしくは多忙な日々から逃れてやっとゆっくりと静かに1日を味わっているかもしれないと想像できるようになってきた。
今までは花も人生も綺麗に咲いている時期が一番いいと思っていたが、美しく花を咲かせたその後に別の楽しみが待っているのではないかと考えに変わってきたという。
人は当事者にならないと目の前の事実をなかなか自分ごととして認識することは出来ないが、自分ごとになった時にどうとらえるか次第で不幸のスパイラルに入っていくかどうかが決まる。
不幸のスパイラルに入っていかないようにするための受け止め方とは・・・?
下り坂を楽しむには、問い続けることが大事
歳を重ねることにより少しずつやるべきことが少なくなり、自分の人生がいよいよ下り坂に差し掛かったと感じると、一抹の寂しさや不安が訪れるが、そういった不安や心もとなさはとても根源的な問いと繋がっているのではないかと思う。
自分の肩書や役割を外して単なる人になった時に、自分にとって大事なものや幸せとは何かについて考えてみると、若い頃からそれは心のどこかにずっとあったはずだが多忙な日々の中で目の前から消えてしまっていたのかもしれない。
人生を下り始めた時に初めて今まで見てこなかったことに向き合う状態になると、それは結構しんどく感じたり不安になったりするが、やっと本当のことと向き合い始めた証なのではないかと思う。
自分と向き合うことも大事だと考える一田憲子さんが毎日やっていることとは・・・?
10年後のキラキラを失わない
歳を重ねてから、5年後・10年度のことを考えると少しずつできないことが増えたり、今までのようにハイスペックでは動けなくなったりドキドキすることも少なくなったりしてズ~ンと重たい気持ちになってしまうこともある。
ある時知人の菓子研究家の方が10年計画表を書いていることを知り、ものは試しとノートに書いてみたところ10年先を数字で可視化することの価値を知った。
今はぼんやりとしたやりたいことでも具体的に書いてみると、そうすることでいつの間にか頭の中にそのやりたいことをやっている光景が浮かんできてワクワクしてくる。
歳を重ねると「今まで」より「これから」が短くなるとどんどんやりたいことがしぼんできてしまうが、それは無意識に「やりたい」を「できない」というストッパーとセットで考えてしまい、その諦め癖がどんどん老け込んでいく原因ではないかと思う。
やりたいことを思い浮かべてドキドキしながら、そこに向かって一歩踏み出すだけでもワクワクすることの大切さと、できないことを諦めない為にも10年計画表の書き方についてポイントを教えてもらった。
菓子研究家に教わった10年計画表の書き方の大切なポイントとは・・・?
ラクなだけの人生はつまらない
歳を重ねたことで昔のようにがむしゃらに頑張る必要がなくなり、自然に頑張ることと頑張らないでいいことの区別ができるようになった。
若い頃は頑張ればなんでもできるような気がしていたが、歳を重ねるにつれて自分には向かないことや頑張ってもどうにもならないことがあるとわかった。
沢山仕事をして沢山稼ぐことだけを考えればどんな仕事でも断らずにやった方がいいけれど、それだと自分が消耗してしまう為、自分が何が好きで何が嫌いかを理解出来るように自分を見つめ直し、自分にとってしっくりこないことを手放すことで、自分が何を好きなのかということに向き合えるのではないか。
人付き合いに関しても、自分にとっての正解が他の人にとっての正解ではないということが分かった時に、自分に足りていなかった配慮を見つけたり事実をみる視点を変えてみたりなど試行錯誤することで自分を変えることも出来る。
自分とは価値観が違う相手を避けてしまうのではなくあえて一歩距離を詰めてみて向き合えるようになりたいと思っている。
そんな一田 憲子さんが頑張らないけど楽もしないと考える境地とは・・・?
一田憲子【人生後半、上手にくだる】の感想
以前から「暮らしのおへそ」や一田 憲子さんの著書を読んでいました。
今回の著書は今までの題材とは異なり、一田 憲子さんが自分の老いにひたすら向き合うことで色んな発見があり、どのように対応していったのかということについて、自分にも早かれ遅かれそういった状況が訪れるのでその時にどのように受け止めたらいいのかということを沢山教えてもらえたような気持になりました。
歳をとると今まで着ていた洋服やメイクも合わなくなったりしますが、そのことについて自分を客観的に見て気が付ける人もいれば、なかなか気付けない人もいると思います。
もう自分には似合わない服装やメイクをしていることに気が付けない人には、「もしかして自分もそうかも」と気付くきっかけをもらえるかもしれません。
私も今までの当たり前を疑ってみて、これが本当に今の自分にとってベストなのかについて客観的に見ることの大切さに気付かせてもらえたような気持になりました。
そして若い頃には気にならなかったことでも、歳を重ねた時に気を付けなければいけない清潔感や、身に着けるものの重さなどの今の自分では思いもしなかったことが沢山書かれており、先の話ではなく現在の時点でも色々取り入れていけるなと参考になりました。
一田憲子【人生後半、上手にくだる】のおすすめポイント
なかなか身の回りに老いについて教えてくれる人は居ないかと思いますが、本著は人生の大先輩が色んなことを雑談のようにお話してくれているような気持ちになれます。
老いに対して自分だけのことではなく、友人や知人や旦那様との付き合い方についても書かれており、少しずつ変化していく人間関係についてもどのように向き合い対応していけばいいのか等、著者の体験談が非常に参考になります。
老いていくと体の不調も出てきますが、そういった変化について自分だけで抱えるのではなく、周りに居る人に共有することで他の人がどのように対応しているのかや、思いがけずお勧めのアイテムなどを教えてもらえたりもするので、一人で抱え込まないことの大切さを知ることが出来ます。
まとめ
若い頃にはすんなり出来たことが上手く出来なくなってきたり、自分を取り囲む状況が変わってきたと感じた時にどういった心持ちで向き合うべきなのかについて考えられている方には、著者が自身の体験を基に道しるべのように教えてくれているので、この先の人生をどのように生きるべきなのかそういったヒントが沢山ちりばめられています。
歳を重ねることについてネガティブなことしか思い浮かばない人には、歳を重ねるからこそ得られるものがあるということを教えてもらえるような一冊です。
人生は有限ではなく、誰にでも平等に老いというものが訪れますが、それは決して悲しむことではなく更に新たな経験を積むことが出来るので、若い方にもこれから自分がどのように人生を送っていけばいいのかそんなアドバイスがとても為になると思います。
歳を重ねると若い頃とは衣食住もしっくりくる物が自然と変わってきますが、著者がどのようにシフトチェンジしていったのか、また今までなかった悩みや疑問をどのように対応しているのかについても書かれているので、身近にそういったことを相談することが居ない方には、先輩のアドバイスを聞いているような気持になることが出来ます。
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