【この話、続けてもいいですか。】は、【サラバ!】で直木賞を受賞したこともある西 加奈子さんによる、なぜ日常にそんなにおもろいことが起こりまくるのか不思議なくらい、珍事件が起こりまくりの関西魂爆発な笑わずにはいられない爆笑エッセイです。
疲れていたり落ち込んでいたりしても、この本を読めばきっと笑いが湧いてきます。
そんな元気をもらえる、西加奈子【この話、続けてもいいですか。】について、今日はあらすじや感想をお届けしていきますね。
西加奈子【この話、続けてもいいですか。】書籍情報
西加奈子【この話、続けてもいいですか。】のあらすじ
西加奈子【この話、続けてもいいですか。】のあらすじをまずはご紹介します。
領収書ナウ
西 加奈子さんが編集担当者の方と喫茶店で打ち合わせをした際に、お会計の時に担当さんが領収書をお願いし、お店の方が担当者さんに領収書の宛名を確認したのですが、その確認の仕方に西 加奈子さんはビックリした。
西 加奈子さんご自身も自分の名前で領収書をもらう時は「西」という宛名を説明する際に「東西南北」を例にして伝えるそうなのですが、「東西南北」の言い方のリズムや強弱に気を付けて伝えないと最後までちゃんと聞いてもらうことが出来ず、説明文の頭の部分だけ抜き取られて全然違う宛名になっていることがあるという。
そんな西 加奈子さんは昔大きな本屋さんでアルバイトをしていた経験があり、そこで沢山の領収書の宛名を書いてきたのですが、その本屋さんは飲食街の近くにあった為、お店のママさんやボーイさんがよく本を買いに来ていた。
とても個性的なお店の名前が多かったのでついその由来が気になったり、上手く聞き取れず一発で正しい宛名を書くことが出来なくて指摘されたりしていたそうです。
「ヘラブナ釣り」というタイトルの本を買いに来たお客さんに対して、どう見てもお店用とは思えないような本のジャンルにはたして領収書を切っていいのかと疑問に思いつつ、お客様さんから聞いた宛名を書いたところ、宛名が違うと指摘された。
はたしてその一風変わった宛名とは・・・?
可愛死に
西 加奈子さんは独身時代から猫を飼っているのですが、昔から猫が好きだった訳では無く、実は猫が苦手で猫アレルギーまで持っているタイプだった。
でも今では周りの人に猫の写真を見せ続けたり愛猫のオチのない話を熱く語り続けるくらいに劇的に変化し、一時期は7匹も猫を飼うくらいの愛猫家に変わったそうです。
沢山の猫たちと暮らしていた時のエピソードで、西 加奈子さんが一匹の猫の背中を撫でてると他の猫たちもすっと西 加奈子さんの近くに寄って来て香箱の姿勢でじっと自分の背中も撫でてて欲しいと無言のアピールをする姿や、西 加奈子さんが夢中で本を読んでいる時にもすっと本と西 加奈子さんの間に猫が入って来て、まるで本のふりをして猫である自分に夢中になってくれるのを狙っているかのような仕草に西 加奈子さんはメロメロです。
そんな可愛いエピソードの中に、ある時愛猫の「モチ」ちゃんがある物の上にちんと座りそれに擬態しようとしていた姿を見て、そのあまりの可愛さに西 加奈子さんは泣いてしまったそうです。
愛猫の「モチ」が擬態しようとしたある物とは・・・?
奇跡体験!ビフォーアフター
女性の方なら似たような経験をしたことがある人がいるのではないかと思いますが、西 加奈子さんが急にお腹が痛くなった為、デパートの二階にあるトイレに駆け込んだものの行列が出来ていた。
必死で涼しい顔をして上の階にある紳士服フロアのトイレに行ったのだがそこも行列だった。。。
行列に並んでいる人達に「譲ってください」とはとてもじゃないが言えず、もはや他のフロアに移動する余裕もなかった為、ひたすら別のことを考えながら耐え忍んでいたのですが、とうとう限界がきてしまい家族や友人達に向けて頭の中でお別れの言葉を思い浮かべるくらいの極限の状態に陥ったそうです。
限界に達しもうダメだと思ったそんな時にある奇跡が起き、西 加奈子さんは無事にトイレの個室に入ってカギを閉めた瞬間、大声で泣き出しそうなくらい感極まったという。
女子トイレで起きたある奇跡とは・・・?
手紙
5月7日は西 加奈子さんの誕生日なのですが、いつもは西さんのお母さんからは直筆の絵手紙をもらうことはあったものの、ある年の誕生日には珍しく分厚い封筒のお手紙をもらいました。
そのお手紙の出だしは「誕生日おめでとう!」というお祝いの言葉からはじまり、その後に31年前に西 加奈子さんを出産した時の詳細が書かれていました。
西 加奈子さんはお父さんのお仕事の都合でイランで産まれたのですが、出産当時のことは今まで何度も聞いたことはあったものの、改めて文章で知ることをとても新鮮に感じた。
イランではなく日本に帰国して出産する選択肢もありましたが、ある理由によりお母さんはイランで出産することを選び、ペルシャ語がわからないお母さんがどのように西 加奈子さんを産んだのかについてこと細かく書かれていて、自分だけに向けられた文章の美しさとその尊さに西 加奈子さんは完全に圧倒され、ガンッと脳みそを直接叩かれた気がするぐらいの衝撃を受けたという。
そして西 加奈子さんの祖母が出産をサポートする為に、生れて初めて飛行機に乗ってイランにまで駆け付けてくれていたのですが、日本では普通の風習のつもりでイランの病院にある物を貰いに行ったら、病院のスタッフの方達にとても気持ち悪がられたそうです。
病院のスタッフに気持ち悪がられたある物とは・・・?
この話、続けてもいいですか。 (ちくま文庫) [ 西加奈子 ]
西加奈子【この話、続けてもいいですか。】の感想についても
西 加奈子さんの作品を読んだのは小説が先だったので、このエッセイを読んでまさかこんなに面白い人だったとはとかなり衝撃を受けました。
西 加奈子さんが父親の海外赴任の関係でイランのテヘラン生まれでエジプトでも過ごしたことがある帰国子女ということは知っていました。
てっきりお嬢様的な帰国子女風な感じかと思いきや、まるで下町で育ったようなコッテコテの関西人で貧乏生活も経験していたり、朝市という名の路上で売っている出処が怪しい渋い座椅子や電気ストーブやタコ焼き器や服などを値切りながら購入していたこともあるというエピソードに非常に親近感が湧きました。
西 加奈子さんのまわりに居る人は、なかなかそんなにクセの強いキャラと出会う方が珍しいのではと思うぐらいの個性的なキャラの方ばかりで、普通の人ならドン引きしたり怒ったりしそうな状況でも西 加奈子さんは動じないところに器の広さを感じます。
西 加奈子さんやその周りにいるお友達みたいな方が自分のまわりにも居たら、毎日お腹がよじれそうなくらいの笑いに包まれそうな気がするなと思わされるくらい、楽しい気持ちにさせてもらえます。
スーパーに行った時に前に並んでいる人のカゴの中を見てその人の献立を連想するのと同時に自分も他の人からカゴの中を見られているのではという思いにかられて、見られても恥ずかしくないセレクトにしてしまうというエピソードを読んで、私も同じようなことをしているなと非常に共感しました。
西加奈子【この話、続けてもいいですか。】のおすすめポイント
西 加奈子さんは二十代はじめから中頃まではすごく貧乏でアルバイトをしていたのですが、そのアルバイトが特殊な環境だったり、アルバイト仲間やお客さんが非常に個性的だったりするのですが、本当にそんなにクセが強い人が居るのかとあまりのインパクトにビックリすると思います。
アルバイト仲間だけではなく、友人や編集者さんもかなりのクセ強な人揃いで、こんな個性的な人達が周りに居たらネタには事欠かないだろうな~とちょっと羨ましくもなります。
西 加奈子さんの過去の色んなやらかしや失敗談もあり、その中には「わかる~!」と共感するものから「信じられない・・・」と思うものまで赤裸々に書かれているので、まるで友人の失敗談を聞いているような気持で楽しく読むことが出来ます。
小説を書く作家さんの頭の中はどんな感じなんだろうと思っていましたが、西 加奈子さんの場合は頭の中に沢山のジャンル別の引き出しがあるような感じで、このエッセイに書かれている内容も旅行の話や相撲の話や長渕剛さんのライブの話など、話の系統も多岐に渡るので読み手を全く飽きさせません。
西 加奈子さんは、現在はご結婚されお子さんもいらっしゃるのですが、本著を書かれた頃はまだ独身で、結婚への憧れや出会いの場について書かれているので、独身時代の心境を知る事が出来ます。
とってもチャーミングな女性なんだろうなということが本著の中からも使わってくるような一冊ですので、きっと旦那さんはそんな西 加奈子さんの面白い所や意外とうっかりさんだったりするとこも含めて惹かれたんだろうな~と西 加奈子さんの魅力を知れると思います。
まとめ
疲れていたり落ち込んでいる人は、そんな状態でもこの本を読むとつい「クスッ」と笑ってしまうような面白い出来事が沢山詰まっており、読み終わった時には少し元気をもらえているような元気になるお薬のような一冊です。
西 加奈子さんの小説しか読んだことがない方には、もしかしたら想像していなかったような西 加奈子さんの芸人顔負けのおもしろキャラにちょっとビックリするかもしれませんが、シリアスからほっこり系まで色んなジャンルの小説がどのような人柄から生み出されているのか裏側を垣間見れると思います。
日常がつまらなく感じている人には、何気なく見ているものの視点を変えてみたり、何気なく見過ごしているものに気が付いたり、面白い人と出会う為に新しい出会いを求めて交友関係を増やしてみるのも悪くないなと思わせてもらえる気持ちになると思います。
関西人のDNA故か西 加奈子さんのボケとツッコミのセンスが抜群ですので、そのお笑いセンスを学べるような一冊ですので、この本を読むことで自分が面白い話をする時の話の持って行き方やオチの付け方など、相手を楽しませる話術の参考にもなります。
★この本が気になった方にはこちらの本もおすすめです★
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