ヤマザキマリ【ヴィオラ母さん】あらすじと感想!自分の殻を破りたいなら読んで欲しい

元気がない時

【ヴィオラ母さん】は、映画化にもなった漫画【テルマエ・ロマエ】の作者でもあるヤマザキマリさん。

そのヤマザキマリさんによる破天荒なキャラの母リョウコのワイルドながらもハートフルで心温まりながらもぶっ飛んだエピソード満載なエッセイです。

今日はこの、ヤマザキマリ【ヴィオラ母さん】についてあらすじや感想とおすすめポイントについてお伝えしていきますね。

ヤマザキマリ【ヴィオラ母さん】書籍情報

・発売日:2019年1月
・著者:ヤマザキマリ
・カテゴリー:エッセイ
・書籍分類:単行本
・ISBN:978-4-16-390962-2

ヤマザキマリ【ヴィオラ母さん】のあらすじ

ヤマザキマリ【ヴィオラ母さん】のあらすじについて、ご紹介します。

叱らない理由

ヤマザキマリさんは自分の行動を叱る母親の姿をなぜか思い出せず、母親からガミガミ言われた覚えがないという。

普通の親なら怒るであろう、夜遅くまで虫取りをしていたり遊泳禁止の川で泳いでいてもその危なっかしい行為について叱ることは一切なかった。

ヤマザキマリさんの母親は娘たちに「世間体なんて気にしなくていい、人はみんなそれぞれ違う生き物」という理念を伝えてくれており、怒りたくなってしまうような事柄をお笑いに転換する能力に長けていた。

そしてヤマザキマリさんが未婚で産んだ赤ん坊を抱えて帰った時も、一瞬驚いたものの満面の笑みである言葉を言ってくれた。
その言葉はなかなかすんなりとは言えない素敵な言葉だった。

その素敵な言葉とは・・・?

子供の世界は学校だけじゃない

ヤマザキマリさんは野山で男の子たちと猿のように元気にはしゃぎ回り、虫や小動物を捕まえることをよろこびとしており、時には学校で他愛もないことを理由に男の子たちと取っ組み合いの喧嘩をしていても母親は不安な顔を見せたことがなかった。

むしろ傷ついたり悩んだりするヤマザキマリさんを母親はニヤニヤ眺めながら「学校が嫌なら別に行かなくてもいいし好きにしなさい」などと毅然とした態度で言う時もあった。

そんな母親に対してヤマザキマリさんは子供ながらに唖然とするほどだった。

そして音楽家という仕事柄、休みが定まっていない母親はたまのオフの日は娘たちに学校を休ませて近隣の湖や山や森へドライブに連れて行ってくれた。

長めの演奏旅行の際には何日間も娘たちを同行させたが、学校の教師たちも母親の特異な職業を理解してくれているからかずる休みに関しては反対されることはなかったという。

一見破天荒にも見える母親のそんな行動は、ヤマザキマリさんたちにある想いを伝えるために、それなりの勇気を持っていくつも創ってくれたということに気が付いた。

ヤマザキマリさんが思う母親が娘たちに伝えたかった想いとは・・・?

子供の誕生日は「私があなたを生んだ日」

頑固者の母親は、ヤマザキマリさんが日本に滞在している間もほとんど電話はかけてこず、たまに何かの用事で電話をかけてきたとしても用件のみで、家族的な他愛のない会話はほとんど交わされないという。

しかしヤマザキマリさんの誕生日に携帯電話の着信に表示された名前が母親だった時には、お誕生日おめでとうについての電話かなと予想して電話に出てみると、母親は開口一番にまったく想像していなかった言葉を言った。

母親は生物学上ではヤマザキマリさんを生んだという存在ではあるが、とにかく「お母さん」然とすることがない人であり、「自分はあなた方を生んだ人間として、一生責任を持って育てます」というたくましさに満ちあふれているが、「私がママよ」という柔らかい母性愛をわかりやすく放つタイプではなかった。

もしかしたら母親自身はれっきとした母性溢れる母親のつもりだったかもしれないけれど、ヤマザキマリさんたちにとっては生きることにまっしぐらな一人の人間であった。

頑張って母親であろうと努力してくれるよりも、子育てを通じて周囲の人からどう評価されるかも全く意識もせず、自分の子供の育て方や進路について周りの親子と比較しているような気配などもなかったが、それがどれだけヤマザキマリさんたちにとって気楽なことだったか計り知れなかった。

そんな母親が「自分のために生まれて来てくれてありがとう」という意味を含めてヤマザキマリさんの誕生日に伝えた言葉とは・・・?


ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ [ ヤマザキマリ ]

ヤマザキマリ【ヴィオラ母さん】の感想

ヤマザキマリさんの漫画もとても面白いのですが、エッセイも漫画とはまた違った感じで非常に興味深い文章を書く方という印象です。

ヤマザキマリさんご自身もなかなか波乱万丈な人生を送られているなと思っていたのですが、その母は更に波乱万丈な人生を送られてて、「この母にしてこの子あり」と思わされる一冊でした。

世間一般の「普通」や「常識」などに縛られている家庭が多い中、こんなに「普通」という概念に縛られない考えの親御さんに育てられたという事は物凄く宝物のような環境のように思えました。

「人は環境によって作られる」という言葉があるように、自分が育った環境というものは人格形成においてとても大きな影響を与えると思います。

だからこそ親が子に自分の価値観を押し付けるのではなく、子供の意見や個性を尊重して伸び伸びと育てるという子育て方法は、誰にでも出来る事ではないだけに尊敬の一言に尽きます。

ヤマザキマリさんもお母さんから受けた影響がご自身の子育てにも影響していると思いますが、優等生を育てるような子育てではなくお子さんの個性を伸ばすような環境を作ってあげる大切さを本著で学ぶことが出来ました。

ヤマザキマリ【ヴィオラ母さん】 おすすめポイント

ヤマザキマリさんの母親は裕福な家に生まれ良家の女子しか通わないミッションスクールに進学し、心配性の両親は外で友達と遊ばせることがほとんどなかった。

そんなお嬢様育ちの母親が何をきっかけに裕福な実家を飛び出し、何の縁もゆかりもない北海道に移住したのか。

そして恥ずかしがり屋だった性格が何をきっかけに豹変したのか、人生の振り幅について非常に興味深く読んでいただけると思います。

親から子の愛情の示し方は一つではなく色んな示し方がありますが、女手一つで娘さんたちを育て上げたヤマザキマリさんの母親の愛情の示し方はとてもジ~ンとくるものばかりで、一緒に居る時だけでなく離れていても娘さんたちを愛しているのが伝わって来て、子供だけではなく人に対しての愛情の示し方の参考になります。

ヤマザキマリさんの母親は、他の人からすれば最悪と思える出来事もど~んと受け止めて慌てたり凹んだり人のせいにしたりしない相当な大きさの器の持ち主で、自分もそんな風になりたいと思えるエピソードが満載です。

ヤマザキマリさんもなかなか波乱万丈な人生を歩んでいますが、それは母親の影響がすごく大きかったのではと思えるくらい波乱万丈のスケールが桁違いなので、個人的にはお母さんのお話を映画化してもらいたいくらいの読み応えがあっておススメです。

まとめ

周りからの評価を気にしたり、親の期待に沿うような選択をしてきた人にはヤマザキマリさんの母親のまるで劇的ビフォーアフターのような人生の劇的な変化を知ると、自分もそんな風に本能のままに生きてみたいと勇気をもらえると思います。

世間の評価や一般の価値観に捕らわることなく、自分の気持ちに正直に生きるということは決して簡単なことではないと思いますが、それでも何かを我慢したりもっとああしておけば良かったと後悔するくらいなら、自分の為にただひたすらに本心に正直に生きてみることは自分へのギフトでもあると思うので、背中を押してもらいたいと思っている方にはお勧めの一冊です。

ヤマザキマリさんの母親は、娘たちの為に自分のやりたいことを我慢したりせずにただひたすらに貪欲に生きてきました。

娘たちはそんな母親の背中を見て沢山のことを学ぶことが出来たので、なかなか出来ることではありませんが、お子さんを持つ親御さんにはこんな子育ての仕方もあるよという例として興味深く読んでいただけると思います。

誰かのために我慢したりする方は、それはもしかしたら自分が良かれと思っているだけで相手はそれを望んでいないこともありますよね。

人に気を遣ってしまう方や自分の本音を言えない方には、自分の気持ちを正直に伝えたり行動することが意外と受け入れられるかもしれないと思わせてもらえる一冊です。

★この本が気になった方にはこちらの本もおすすめです★


国境のない生き方 ー私をつくった本と旅ー (小学館新書) [ ヤマザキ マリ ]

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